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【アルコール依存症】飲酒の量やタイミングを制御できなくなります

飲み過ぎの習慣化が依存につながります

毎日の晩酌がいつしか習慣化し、飲まずにはいられないという状態になっている人は要注意!
依存症になるとお酒が手元にないと不安を感じるようになり、飲まないとイライラしたり眠れなくなったりといった離脱症状が現れるようになります。
また酔った時の行動や発言のせいで、家庭や社会での信用を失ってしまうことも。
人生を損なう前に、少しでも早い段階で治療を始めることが大切です。

年代別・性別 飲酒習慣がある人の割合

飲酒習慣(1合以上飲酒する日が週に3日以上ある)がある人の割合を見ると、女性よりも男性の方が圧倒的に多いことがわかります。
しかし女性は、男性と比べてアルコールの分解速度が遅い点に注意が必要。男性と同じ量のアルコールを摂取した場合は、女性の方が短期間で依存症に発展します。

アルコールは、大麻や覚せい剤などと同じで依存性薬物のひとつ。
「だらしないから」「意志が弱いから」などという理由で飲酒を止められないのではなく、適切な治療を行なわなければ自然に回復することはありません。

症状|アルコールがないと心と体が不安定になります

アルコール依存症になるとお酒を飲まずにはいられず、時と場合に関わらず飲酒するように。
飲むタイミングや量を自力でコントロールできなくなり、一度飲みだすと止まらないのも依存症の特徴です。
依存が進むと、精神(心)と体の両方に不調が現れます

精神的な依存

精神的な依存のもっとも大きな特徴は、「いつでもお酒が飲みたい」「お酒を飲まないと落ち着かない」など、飲酒を我慢したり制御したりできなくなることです。

  • お酒が手元にないと不安になる
  • 飲むべきではない場面でも、飲みたいという強い欲求がある
  • 飲み始めると適度な量でやめられず、つい飲み過ぎてしまう
  • 数時間ごとに飲酒を続ける(連続飲酒)

肉体的な依存

飲酒の常習化によりアルコールが体内にある状態が長く続くと、体や脳はそれが普通の状態だと思い込んでしまいます。
その反動で、体内からアルコールが抜けると異変を生じるように。酔いが覚めたときに起きる身体症状を、離脱症状や禁断症状をいいます。

離脱症状

発汗、動悸、手のふるえ、吐き気・嘔吐、幻覚・幻聴、イライラ、不安など

アルコールが抜けると体調が悪くなるため、離脱症状を抑えるために飲酒するという悪循環に陥ってしまいます。

生活習慣病のリスクを高めます

「酒は百薬の長」と言われることがありますが、過度なアルコール摂取は健康被害の大きな要因になります。

お酒の飲み過ぎが招く病気

高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風、膵炎、喉頭癌、咽頭癌、食道癌、肝臓癌、大腸癌、肝炎、肝硬変、脂肪肝、認知症
(参考|厚生労働省 e-ヘルスネット

アルコールが原因の病気といえば肝臓の疾患が思い浮かぶかもしれませんが、ほかにも循環器(血管)に関わる病気や癌の発症にも大きな影響をおよぼします。

こころの病気を併発する場合もあります

アルコール依存症がうつ病を招くケースは多く、とくに転職や離婚、職場や家庭、人間関係でのストレスなどが原因で飲酒が始まっている場合は併発のリスクが高まります。

酔うと楽しくハイな気分になれるものの、酔いから覚めると激しく落ち込むことに。心が不安定な状態が続いてしまうのです。

またアルコール依存を伴ううつ病は、自殺率の高さも認められています。
自殺予防総合対策センターの調査によると、自殺者の20%以上が自死を選ぶ直前の1年間に飲酒問題を抱えていたことがわかりました。
自殺した人の3分の1が、直前に飲酒していたこともわかっています。

原因|日本酒3合は飲み過ぎ!症気に渡る習慣化が依存を招きます

アルコール依存症の原因は、飲み過ぎ(飲酒量)と習慣化(期間)にあります。

厚生労働省が掲げる健康日本21によると、節度ある飲酒とは1日あたりの純アルコール摂取量が20g以下と示されています。
では、どのくらいの量が飲み過ぎや危険飲酒に当てはまるのでしょうか。

危険飲酒とは?

  • ビール(500ml)3本
  • 日本酒3合
  • 焼酎(25度)300ml
  • ワイン グラス6杯

危険飲酒が習慣になってからアルコール依存症を発症するまでの期間は、男性で20年、女性は半分(10年以下)と言われています。

ほかの精神疾患が原因でアルコールに頼っている場合も

アルコール依存症より前に発症した心の病気が、アルコール依存症を引き起こしている場合もあります。

・うつ病
・不安障害
・双極性障害
・統合失調症

いずれも、病気の症状を和らげるためお酒に頼りやすくなり、結果的にアルコール依存症に陥る可能性があります。

対策|病気を受け入れ、お酒に頼らない健康的な生活を目指します

アルコール依存症は入院治療がメインです。
通院での治療が可能なケースもありますが、知識と経験を備えた医師のもと、専門的な施設で集中的に治療すべきだと考えられています。

治療は3つの段階に分けられ、病気の認識、解毒(断酒の開始)、リハビリ(断酒の継続)というステップを辿っていきます。

時期 期間 目的
断酒前 自分が病気だと認め、前向きに治療を進めるための動機づけを行なう
解毒
(断酒開始)
約3週間 断酒による離脱症状や、アルコールが原因で起きた他の病気の治療を行なう
断酒継続
(リハビリ)
約7週間 心と体の状態が落ちついたら、飲酒に対する考えや行動を正すための精神療法を始める

治療は、薬物療法と精神療法を併せて行なわれます。

薬物療法

アルコール依存症の治療には、抗酒薬や断酒補助剤を使用します。

種類 抗酒薬 断酒補助剤
作用 飲酒すると頭痛や動悸が起こるようになる 飲酒欲求を抑える
代表的な薬 ノックビン
シアナマイド など
レグテクト
セリンクロ など

抗酒薬にはお酒に弱い体質を作り出す働きがあり、服薬後に飲酒すると二日酔いのような症状が起こります。
アルコールに対して体が拒否反応を示すため多量飲酒はできなくなりますが、「飲みたい」という気持ちの減退を促す薬ではありません。

断酒補助剤は、脳に作用して「飲みたい」という気持ちを抑える働きがあります。
断酒に対する意欲が高い人や断酒を始めたばかりの人にとっては高い効果が期待できますが、飲酒を継続している場合には効果が得られないケースもあります。

精神療法

アルコール依存症の治療では、「お酒をやめるぞ」という意思を促すことが重要です。

目的

  • 断酒に対する気持ちを維持する
  • 飲まない習慣を身につける
  • ストレスに対する抵抗力を身につける

アルコールが抜けると体調が悪くなるため、離脱症状を抑えるために飲酒するという悪循環に陥ってしまいます。

精神療法の中には、酒害教育や個人精神療法、集団精神療法、認知行動療法など、さまざまな手段があります。
近頃は認知行動療法の有効性に注目が集まっており、認知(考え方)を受け入れて軌道修正していく方法が有効だと考えられています。

1、アルコール依存症という病気に対する理解を深め、自分の病状を受け入れる
2、自分が抱えている飲酒トラブルと向き合う
3、飲酒や病気に対する偏った考えに気づく
4、飲酒のメリットやデメリットを考察し、アルコールに対する考えを正す
5、断酒の必要性を理解し、心構えを行なう
6、再飲酒の予防法を考え、断酒継続のための現実的な手段を実践していく

入院中の積極的な治療によって回復・改善がみられたら、退院後も断酒を継続できるよう定期通院を続けます。
半年~1年ほど抗酒薬の服用を続けるとともに、適切な精神療法を繰り返しながら長期的な断酒を目指します。

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