イクセロンパッチ

効果・効能

イクセロンパッチは軽度～中等度のアルツハイマー型認知症の治療薬です。
肌に貼るパッチタイプで内服薬に比べて血中濃度が一定となりやすく、効果の安定・副作用の軽減が期待できます。

イクセロンは脳内の情報伝達物質量を増やすことで、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせます。

アルツハイマー型認知症は、脳内伝達物質のアセチルコリンの脳内量が減少することで起こります。
アセチルコリンは記憶や認知に関する働きを持っているため、不足してしまうと記憶障害（もの忘れ）や実行機能障害（計画・実行ができない）、見当識障害（時間や場所がわからない）といった症状を引き起こします。

イクセロンはアセチルコリンを分解するコリンエステラーゼに作用。
アセチルコリンの分解を阻害することで脳内のアセチルコリン量が増え、アルツハイマー型認知症の進行速度を落とすのです。

用法・用量

イクセロンパッチは1日1パッチを皮膚に貼り、24時間ごとに貼り替えます。
貼る際は、貼付箇所の肌を拭って清潔にしてから貼ってください。

【貼付部位】

• 体毛が少ない部位（背中、上腕部、胸部など）に貼る
• 清潔で乾燥した状態で貼る
• 衣服が擦れない場所に貼る
• 傷や湿疹などがある場所は避ける

本剤が剥がれてしまった場合は、新しいパッチに貼り替えてください。
その後は、翌日の貼り替え時間から通常どおり貼り替えを行います。

症状や状態に応じて使用方法が異なります

【副作用がない・副作用が軽い人】
1日1回9mgから貼付を開始します。
その後は1回18mgの維持量になるまで4週間ごとに4.5mgずつ貼付量を増量する。
または、開始から4週間後に18mgに増量します。

【慎重投与が推奨される人】
1日1回4.5mgから貼付を開始します。
その後は1回18mgの維持量になるまで4週間ごとに4.5mgずつ貼付量を増量します。

どちらの使用方法でも、維持量の1回18mgに達するまでは症状に応じて増減可能です。
ただし、本剤の18mg未満は有効用量ではないため、効果を得るには必ず18mgまで増量する必要があります。

※維持量：治療を進めるうえで最適な用量
※本剤はカットすると成分が漏れ出す恐れがあるため、カットして使用しないでください。
本剤は18mgのみの取り扱いのため、維持量に達した場合にのみ使用してください。

使用上の注意

次の使用方法を遵守して使用してください。

• 本剤を取り扱った後は必ず手を洗いましょう。洗わずに目に触れないでください。
• 本剤の使用開始時または増量時に、めまいや傾眠が起こる場合があります。その際は車の運転や機械の操縦は危険なため避けてください。
• 本剤を使用しても効果を実感できない場合は、使用を中止して医師の診察を受けましょう。

副作用

国内で行われた臨床試験での副作用の発現率は73.2%でした。
おもな症状は次の通りです。

イクセロンパッチを貼った部位に皮膚症状が現れやすい傾向にあります。
皮膚症状の発現を防ぐため、同じ部位への連続貼付は避け、毎回貼る部位を変更してください。
皮膚症状が現れた場合は、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン外用薬などを使用するか、減量または休薬・中止しましょう。状況に応じて飲み薬への変更も可能です。変更を検討する場合は医師にご相談ください。

禁忌・注意

・本剤の成分にアレルギーのある人
アナフィラキシーを引き起こす恐れがあります。

・アルツハイマー型認知症の診断を受けていない人
アルツハイマー型認知症以外の人が服用した場合の影響や安全性は確認されていません。

・同じ作用を持つ医薬品を使用している人
作用が増強し、副作用が強く現れやすくなります。

やむを得ない場合にのみ使用できる人

次にあてはまる人は、やむを得ない場合にのみイクセロンパッチを使用できます。

・重度の肝機能障害のある人
血中濃度が上昇し、副作用が強く出やすくなる恐れがあります。
また、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施されていないため、有効性や安全性が確立されていません。

・妊婦または妊娠している可能性のある女性
動物実験において、胎児への成分移行が確認されています。
胎児への影響が不明なため、やむを得ない場合を除いて使用は避けましょう。

・授乳中の女性
動物実験において、乳汁への成分移行が報告されています。
服用する場合は必ず授乳を中断してください。

保管・廃棄時の注意点

貼付24時間後もパッチには成分が残っています。
使用済みのパッチは接着面に触れないよう内側へと折りたたみ廃棄してください。

小児の手が届かない場所に保管・廃棄してください。

参考サイト

本商品の詳細は、海外メーカーの商品情報の翻訳および以下のサイトを参考に編集しています。

• KEGGデータベース「イクセロン」
• フリー百科事典 ウィキペディア「リバスチグミン」