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寝つけないのは不眠症?

不眠症は、寝つきが悪い・眠りが維持できないなど、睡眠の質が低下しているせいで日中の眠気やだるさなどの不調を招く病気です。

不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。

(引用元|厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

不眠症を発症する割合は、成人した日本人の5人にひとり。国民病と呼ばれるほど、誰もがかかる可能性を持っているのです。
また不眠症になってしまう原因や現れる症状には個人差があります。適切な治療を始めるために、まずは自分の症状を把握し、原因を探ってみましょう。

不眠症セルフチェック

不眠の程度を計測する世界共通の目安として、アテネ不眠尺度があります。
自分の状態を客観的に把握し、適切な治療を始める材料として活用してください。

・過去1ヵ月のあいだで、週に3回以上経験したものの点数を合計します。
・8つの質問、合計点数は最大24点です。

問1、床についてから寝つくまでに、どのくらいの時間がかかりますか?

寝つきはよい 0点
普段よりも少し時間がかかった 1点
普段よりもかなり時間がかかった 2点
普段よりも非常に時間がかかった、または眠れなかった 3点

問2、眠っているあいだに目が覚めることはありましたか?

問題になるほどのことはなかった 0点
少し困ることがあった 1点
かなり困ることがあった 2点
高深刻な状態、または眠れなかった 3点

問3、起床したい時刻よりも早く目が覚めて、そのあと眠れなくなることはありましたか?

なかった 0点
少し早く起きた 1点
かなり早く起きた 2点
非常に早く起きた、またはまったく眠れなかった 3点

問4、睡眠時間(昼寝をふくむ)は足りていますか?

十分である 0点
少し不足している 1点
かなり不足している 2点
まったく足りていない、またはまったく眠れなかった 3点

問5、睡眠の質に満足していますか?

満足している 0点
少し不満がある 1点
かなり不満がある 2点
非常に不満がある、またはまったく眠れなかった 3点

問6、日中の気分はどうですか?

普段どおり 0点
少し滅入ることがあった 1点
かなり滅入ることがあった 2点
非常に滅入ることがあった 3点

問7、身体的および精神的に、日中の活動状態はどうですか?

普段どおり 0点
少し低下した 1点
かなり低下した 2点
非常に低下した 3点

問8、日中、眠くなることはありましたか?

まったくなかった 0点
少しあった 1点
かなりあった 2点
激しい眠気を感じた 3点

合計点数は?

  • 0~3点|不眠症の心配はありません
  • 4~5点|少し不眠症の疑いがあります
  • 6点以上|不眠症の疑いがあります

4~5点の人は、医師への相談を検討してみてください。
6点以上の人は、医師への相談をお勧めします。正確な診断のもと、必要であれば適切な治療をはじめましょう。

不眠症の症状

不眠症は現れる症状によって4種類に分けられます。
ひとつの症状に悩まされる場合もあれば、複数の症状を同時に発症する場合もあります。

不眠症のタイプ
入眠障害 眠りたいのに寝つけない状態。
床についてから寝つくまでに30分~1時間以上かかる。
中途覚醒 睡眠を維持できない状態。
夜中に何度も目が覚め、再び寝つくことが難しい。
熟睡障害 眠ったという満足感が得られない状態。
睡眠時間は確保できているのに、起床時に眠気や倦怠感を感じる。
早朝覚醒 朝早過ぎる時間に目が覚めてしまう状態。
起床の予定時刻よりも2時間以上早く起床し、再び寝つけない。

上記の症状が週に2回以上のペースで1ヵ月以上続いていたら、不眠症が疑われます。
なおかつ、睡眠時間が不足しているせいで集中力が低下したり倦怠感を引きずったりと、日中の活動に悪影響をおよぼしていたら不眠症と診断。

「なかなか眠れない」「夜中によく起きてしまう」といった悩みだけでは不眠症と言い切れず、睡眠の質の低下・発症頻度と期間・日中への影響を考慮し、判断されます。

入眠障害

入眠障害にはこんな症状があります

  • 体は疲れているのに何時間も寝つけない
  • 横になってから寝つくまでに1時間以上かかる
  • 寝ようと思うとかえって目が冴える

不眠症の中でもっとも自覚しやすく、訴えも多いのが入眠障害です
ストレスや不安を感じやすい人に多く、若い世代に起こりやすい症状です。

悩みごとで頭がいっぱいになってしまって寝つけないのは、脳が睡眠モードへ切り替わらないから。心理的原因のほか、うつ病や不安障害といった精神的な病気の症状として不眠に陥っている場合があります。

中途覚醒

中途覚醒にはこんな症状があります

  • 寝つきは悪くないけど、すぐに起きてしまう
  • 夜中に目が覚めると、そのあと寝つくまでに時間がかかる
  • 睡眠中に何回も起きてしまい、睡眠時間が不足しがち

睡眠中に2回以上目が覚めてしまい、眠りを維持できないのが中途覚醒です。
健康な人であっても夜中に目が覚めことは珍しくありませんが、何度も起きてしまうことをストレスに感じているのであれば要注意。
不眠症患者の15~27%の人が中途覚醒と言われていて、とくに中高年に多くみられます。
また睡眠時無呼吸症候群や夜間頻尿の症状として、中途覚醒を生じることもあります。

熟眠障害

熟眠障害にはこんな症状があります

  • 一定の睡眠時間はとれているのに眠った気がしない
  • しっかり眠ったはずなのに、朝起きると疲れている

睡眠時間は十分に取れているはずが、「グッスリ眠れた」という満足感を得られないのが熟眠障害です。

人は眠っているあいだに、レム睡眠(浅い睡眠)とノンレム睡眠(深い睡眠)を繰り返しています。
レム睡眠中は記憶の整理整頓や定着が行なわれており、脳が活動している状態。ノンレム睡眠は疲労回復のための時間で、脳は休息しています。
熟眠障害は、睡眠サイクルの乱れが原因のひとつ。ノンレム睡眠の時間が短くなっていて、疲れがとれないまま朝を迎えてしまうのです。

早朝覚醒

早朝覚醒にはこんな症状があります

  • 起床の予定時刻よりも2時間以上早く起きてしまう
  • 目が覚めるのが早過ぎるうえに再び眠ることができない

早朝覚醒では、まだ眠っていたいのにアラームに設定した時刻よりも大幅に早く目が覚めてしまいます。
起きる時刻が早過ぎても、日中に眠さや倦怠感を感じないのであれば問題ありません。
しかし睡眠不足のせいで昼間のパフォーマンスが低下している・ストレスを感じているといった弊害が現れているようであれば、早朝覚醒と判断します。

睡眠のリズムに変化がみられる高齢者のほか、うつ病を患っている人にも多くみられる症状です。

不眠症の原因

不眠症を生じる原因は、肉体の疾患やメンタル面での不調など個人差があります。
ひとつの原因で眠れなくなることもあれば、いくつかの原因が絡み合って睡眠を妨げている場合もあります。

不眠の原因は大きく5つに分けられます。

不眠症の原因
  • 身体的原因(体の病気)
  • 生理的原因(ホルモンバランスの乱れ)
  • 心理的原因(ストレスや不安)
  • 精神医学的原因(心の病気)
  • 薬理学的原因(医薬品や刺激物)

原因によっては、生活習慣を見直し改善することで睡眠の質を高められる場合も。
しかし、精神的にも肉体的にも治療が必要な疾患によって不眠を引き起こしている場合には、医療の介入が必要です。
医師の診察を受け、原因疾患および不眠症の治療を行なわなくてはいけません。

身体的原因

体の痛みやかゆみ、息苦しさ、呼吸のツラさなど、身体的な原因によって眠りを妨げられているケース。

【不眠の原因となる疾患】
アレルギー性皮膚炎(アトピー)
喘息花粉症
関節リウマチ
頻尿
睡眠時無呼吸症候群

原因となっている症状が続いているあいだは、不眠の改善も困難。
安定した睡眠を確保するためには、病気の改善・緩和を目指すことが先決です。

ただし睡眠時無呼吸症候群は自分で気づけない場合が多く、発見されにくい病気です。
いびきの大きさを指摘されることがある、起床時に疲れが残っている、眠れたという満足感がないという人は医療機関を受診してみましょう。

生理的原因

時差ボケや昼夜逆転の生活など、体内時計の乱れによって不眠を招いているケースがあります。

就寝環境の変化や勤務時間帯の変更などによって睡眠のリズムや環境が不安定になると、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌量が低下してうまく眠ることができません。

メラトニンは本来、夜になると分泌が増えて体を休息モードに切り替えます。
しかし夜間に照明の明るい部屋でいつまでも起きていると、体は昼間だと勘違いするためメラトニンの分泌が増えず、入眠や睡眠の維持が難しくなってしまうのです。

心理的原因

メンタルの不調が原因になって、眠れなくなる場合もあります。

ストレスや不安、緊張などを感じているときは、脳の覚醒状態が優位になっています。
覚醒から休息への切り替えがうまくできず、スムーズに寝つくことができません。

また「今日も眠れないかもしれない」という眠りに対する心配やストレスから、さらに不眠が悪化していくケースもあります。

精神医学的原因

うつ病や不安障害、統合失調症といった心の病気による症状のひとつとして、不眠症に悩まされることがあります。

眠れないだけでなく「何に対しても興味を持てない」「憂うつな気分がずっと続いている」といったメンタル面での不調を生じている場合には、カウンセリングや投薬など専門家による治療が必要な場合もあります。

眠れないうえに心の状態が優れない場合には、心療内科や精神科を受診してみましょう。

理学的原因

お酒やコーヒー、煙草といった嗜好品のほか、服用している医薬品が原因となって睡眠に影響しているケースもあります。

お酒を飲むと気持ちよく寝つけるというイメージがありますが、それは間違い。アルコールが体内で分解される際に発生するアセトアルデヒトという成分は、脳を刺激し睡眠の質を低下させます。

またカフェインやニコチンには脳の覚醒を促す作用があるので、就寝前に摂取すると入眠が阻害されてしまいます。

医薬品の中にも脳の休息を妨げる成分があるため、原因がわからない不眠で悩んでいる人は服用中の薬について確認してみましょう。

不眠症の治療・対処法

不眠症の治療方法には、医薬品を用いる薬物療法と生活習慣の見直しによって改善を目指す非薬物療法があります。

それぞれが抱える症状や「どのように治療を進めていきたいか?」といった状況によって、適切な治療方法は異なります。

一般的には、薬物療法と非薬物療法を同時に行ない、症状の改善を目指します。

不眠症の治療の流れ

1、不眠の原因となっている生活習慣を改善
不眠の症状や普段の生活リズム、仕事の勤務時間帯などを医師へ伝え、睡眠衛生教育のもと生活習慣の改善を目指します。

2、睡眠薬を服用
睡眠衛生教育と並行して、睡眠薬を服用します。
症状や体質に合わせ、安全を考慮して医師が選定するため、安心して服用を続けられます。

3、生活習慣が整い、症状に改善が見られたら減薬します
良質な睡眠のためのライフスタイルが定着し、眠れることが増えてきたら、服薬期間や量の調整を始めます。
自己判断での減薬・断薬は、症状の悪化や再発を招く恐れがあるため、必ず医師の判断を仰ぎましょう。

4、服薬せずに安定した状態が続いていたら、治療完了
睡眠薬を服用しなくても自力で眠れることが確認できたら、不眠症の治療は終了です。
治療が終わっても、良質な睡眠のための生活習慣は継続しましょう。

非薬物療法(生活習慣の改善)

非薬物療法では、医師による睡眠衛生教育を通して不眠を招いている生活習慣を正していきます。
軽度の不眠症であれば、誤った習慣や考えの修正だけで眠れるようになる場合もあります。
また薬物療法を行なう場合でも、生活の見直しは必要です。

寝る前に気をつけること

  • 早く寝ること&8時間睡眠にこだわらない
  • ベッドや布団を使うのは睡眠時だけ
  • 寝酒は睡眠薬代わりになりません
  • 就寝前に刺激物を摂るのは避けましょう

・寝る時刻、睡眠時間にこだわらない
「○○時までに眠らないと」「最低7時間は眠らなくちゃ」といった強いこだわりは、脳を刺激してかえって眠りを妨げてしまうことがあります。
過度に意気込まず、眠くなったら床につきましょう。

・寝床は眠るためだけに使う
ベッドや布団でリラックスタイムを過ごすという人がいるかもしれません。しかし読書やテレビ観賞、飲食などは、なるべくほかの場所で行ないましょう。

・就寝前のお酒、煙草、コーヒーは控える
寝酒という言葉がありますが、アルコールは脳を刺激して睡眠を妨げます。
またニコチンやカフェインは脳の覚醒状態にするため、寝る前の摂取は控えましょう。

日中に意識すること

  • 毎日同じ時刻に起きましょう
  • 起床後は日光を浴びましょう
  • 昼寝は20分程度、15時までの時間帯で
  • 3度の食事、適度な運動の習慣を

・起床時刻の習慣化
休日だから遅くまで寝る(寝だめ)という行動は、体内時計のリズムを不安定に。
毎日同じ時間帯に起きることで、睡眠サイクルが安定していきます。

・太陽を浴びて体を活動モードに切り替え
人間の体には、太陽が昇ると覚醒して陽が沈むと休息するサイクルが備わっています。
朝日を浴びることで体内時計が正常に機能し、夜になると自然に眠気が起こるようになります。

・昼寝のし過ぎはダメ
午後に眠気を感じることがある場合には、15~20分ほどの昼寝が有効です。
短時間であれば頭がスッキリしますが、30分以上眠ると深い眠りに入ってしまうので要注意。
また15時以降の昼寝は夜の睡眠を妨げるため、控えておきましょう。

・食事と運動の習慣を
体内時計を整えるためにも、とくに朝食は大切です。毎朝同じ時間帯に食事を摂り、体を活動モードへと促していきましょう。
早歩きや軽めのランニングなどの有酸素運動は、睡眠の質向上に役立つと言われています。
上昇した体温が低下する際に眠気が起こりやすくなるので、睡眠の3時間ほど前の運動がもっとも有効的です。

薬物療法(睡眠薬の服用)

睡眠薬の服用によって一定の睡眠時間を確保し、「眠れた」という自信を積み重ねることは不眠症の改善にとって非常に有効。

ただし睡眠薬は、種類によって効き方が異なります。
眠れるようになるためには、不眠の症状に適した睡眠薬を選ぶことが大切です。

不眠のタイプ 入眠障害 中途覚醒 熟眠障害 早朝覚醒
目的 とにかく早く寝つきたい 朝までグッスリ眠りたい 熟睡できたと実感したい 睡眠サイクルを整えたい
代表的な商品 ハイプロン ハイプナイト バスピン ロゼレム
商品名 ハイプロン ハイプナイト バスピン ロゼレム

症状で選ぶ・通販で買えるおすすめ睡眠薬

入眠障害に適した睡眠薬

寝つきの悪さを改善するためには、素早く効く睡眠薬が適しています。
服用後30分ほどで眠気が訪れるので効果を実感しやすいだけでなく、有効成分の代謝が早く翌日への影響が少ないというメリットもあります。

入眠障害に適した睡眠薬

中途覚醒に適した睡眠薬

睡眠中に何度も目が覚めて朝まで眠り続けられない場合には、脳に作用して深い睡眠を維持するGABA受容体作動薬が適しています。
通販で買える睡眠薬の中ではハイプナイトが代表的ですが、病院処方ではレンドルミンやサイレースなどが用いられます。

また、睡眠サイクルを整える目的で、オレキシン受容体拮抗薬(ベルソムラ)やメラトニン受容体作動薬(ロゼレム)を用いる場合もあります。

中途覚醒に適した睡眠薬

熟眠障害に適した睡眠薬

熟眠障害は、うつ病や不安障害の症状として現れるケースが多いため、脳をリラックスさせるタイプの睡眠薬が有効。
深い眠りを維持しながらメンタルケアにも有効なバスピンがおすすめです。

正常な睡眠サイクルを取り戻しながら自律神経のバランスを整えたいという場合には、ロゼレムが適しています。

熟眠障害に適した睡眠薬

早朝覚醒に適した睡眠薬

起床時刻が早まっている場合には、睡眠サイクルを整える睡眠薬・ロゼレムベルソムラがおすすめです。

眠りや覚醒に関わる物質に作用して体内時計を正常化させ、安定した睡眠サイクルを身につけていきます。

早朝覚醒に適した睡眠薬

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