・新しいタイプの抗うつ薬
・副作用が軽減されています
・うつ病、不安障害に
心の病気(精神障害)に関する情報ページ
このページでわかること
- 心の不調は体にも現れます
- 気分の落ち込みだけが心の病気ではありません
- 治療にはカウンセリングとお薬の両方が必要です
現代の日本では、30人にひとりが心の病気(精神障害)にかかって治療を受けていると言われています。
精神的な病気によって通院・入院治療を受けている人の数は年々増えており、誰もが心の病気になってしまう可能性を持っているのです。
心の病気(精神障害)の原因の多くは脳にあると考えられていますが、体の病気と違って外から見てもわかりづらく、検査を行なえば診断できるというわけではありません。
どんな病気でも、早めの発見と治療開始が回復のカギ。心の不調も同じで、早い段階で気づいて薬物療法と精神療法を始めることが大切です。
心の不調は体にも現れます
心の病気にかかると、精神的な不調はもちろん肉体的にも不調を生じてしまいます。
気持ちは元気なつもりでも、先に体が悲鳴をあげてしまうことも。
心と体の両方に目を向け、異変を感じたら医療機関に相談してみましょう。
うつ病 | 不安障害 | 統合失調症 | 双極性障害 | アルコール依存 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
体の不調 | 疲労・倦怠感 | ● | ● | ● | ||
動悸・めまい | ● | ● | ||||
頭痛 | ● | ● | ● | |||
不眠 | ● | ● | ||||
食欲不振 | ● | |||||
心の不調 | 不安・緊張 | ● | ● | |||
憂うつな気分 | ● | ● | ● | ● | ||
怒りっぽい | ● | ● | ● | |||
幻聴・幻覚 | ● |
体に現れる症状
疲労、倦怠感
人は誰でも疲れを感じるものですが、疲労感が長く続く・だるさが何日も続く・ずっと体が重いなどといった場合には要注意。
まずは肉体的な病気を疑いますが、ハッキリとした原因がわからない場合には心の病気が隠れているかもしれません。
・こんな病気かもしれません
うつ病、統合失調症、不安障害
動悸、めまい
過度にドキドキすることが増えた、息苦しさを感じる、めまいが起きやすいといった症状の場合、心臓や血管の疾患が疑われます。
しかし体に異常がなかった場合には、心の不調が異変を招いている可能性があります。
動悸や息苦しさが悪化すると発作を生じることもあり、「いつ発作が起きるかわからない」と外出がままならなくなってしますことも。
・こんな病気かもしれません
うつ病、不安障害
頭痛
頭がずっしりと重い、ズキズキと痛むなど、頭痛の症状はさまざま。慢性的に痛みが続く、定期的に頭痛を繰り返しているという人の中には、「自分は頭痛持ちだ」と諦めている人も多いのではないでしょうか。
しかし頭痛は、身体的にも精神的にも不調をきたしているサイン。まずは体の病気を探ってみて、明確な原因が見つからなければ心理的な面での原因を探してみます。
・こんな病気かもしれません
うつ病、統合失調症、不安障害
不眠
体は疲れているのにスムーズに寝つけない、夜中に何度も目が覚めてしまうといった不眠の症状が現れている人は、心が疲れている可能性大。
不安やストレスを感じ過ぎている場合には、まずは心を休めることが大切です。しかし、うつ病の初期症状として現れるケースも多く、安定した睡眠を取り戻すには時間がかかる場合があります。
・こんな病気かもしれません
うつ病、不安障害
食欲の低下
食事に興味が湧かない、何を食べてもおいしいと感じられない、ダイエットをしているわけでもないのに体重が減っているといった時には、医療機関へ相談を。
糖尿病や潰瘍性大腸炎、ガンなどが懸念されますが、肉体的な疾患が見つからない場合には心の病気から食欲不振に陥ってると考えられます。
・こんな病気かもしれません
うつ病、摂食障害
心に現れる症状
憂うつな気分
気分が沈みがち、何に対しても楽しさを感じられないといった状態は、心の病気でもっとも目につきやすい特徴です。
誰にでも気分の変調はありますが、落ち込んだ状態が長く続いている時は危険信号。そのまま放置すると、気持ちの回復が遅れてしまいます。
自力では落ち込みから抜け出すことができないという時は、精神科や心療内科を受診してみましょう。
・こんな病気かもしれません
うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害
不安や緊張が強い
大切な仕事やテストを控えていれば、誰でも心細くなったりドキドキしたりするものです。
しかし、特別な理由がないのに「気持ちがそわそわと落ち着かない」「緊張して心細い」といった不安感は、心の病気から生じている可能性があります。
病気からくる不安は、きっかけがない、もしくはきっかけがなくなっても続く、原因となるできごとと不安感のバランスが悪いといった特徴があります。
また不安は、動悸や冷や汗、息苦しさ、不眠、頭痛といった肉体症状としても現れます。
・こんな病気かもしれません
うつ病、不安障害
怒りっぽい
人は誰でも、イライラしたり怒ったりすることはあります。
しかし、怒りの感情をコントロールできず他人にぶつけてしまう、衝動的にものを壊したり暴言を吐いたりしてしまうといった時には、心の病気が原因かもしれません。
行き過ぎた怒りや衝動は、家族や友人、恋人にも大きな影響をおよぼします。人間関係や社会的な立場に支障をきたす前に、医療機関へ相談してみてください。
・こんな病気かもしれません
双極性障害、統合失調症、アルコール依存症
幻聴、幻覚
姿は見えないのに話しかけられている、誰もいないのに悪口を言う声がするといった場合、「ちょっと疲れているだけ」と軽く考えてはいけません。
症状が進むと日常生活に支障をきたすだけでなく、その後の人生を大きく損ないかねません。
また、自分では幻聴や幻覚だとは思っていない場合も多く、第三者からの指摘によって初めて心の病気を疑うきっかけを得ることも。
・こんな病気かもしれません
統合失調症
気分の落ち込みだけが心の病気ではありません
心の病気にはさまざまな症状や原因があり、「憂うつな気分が続いているからうつ病なんだ」と簡単に判断できるものではありません。
また、異なる疾患であっても症状が似ている場合もあり、医師でも正確な診断には時間がかかることがあります。
うつ病
うつ病は、気持ちが深く沈みこんだり、物事への興味や関心がなくなったりする代表的な心の病気です。
「心が弱い人がかかる」と捉えられがちですが、本当の原因は脳の機能障害。誰もが発症する可能性があります。
うつ病の症状例
- 憂うつで気分が沈んでいる
- 何に対しても興味が湧かず、集中できない
- 死にたい、消えたい気持ちになる
- ボンヤリとしていて反応が遅い
- 食欲が出ない
- 体がだるく疲れやすい
- 性欲がない
- 眠れない
不安障害
不安障害とは不安感が強く現れる心の病気の総称で、パニック障害、強迫性障害、PTSD(外傷後ストレス障害)、全般性不安障害、社会不安障害などはすべて、不安障害に含まれます。
不安障害の症状例
- 理由もなく大きな不安におそわれてドキドキする
- 他人に注目されたり、大勢の人がいる場所に出たりすることが苦痛だ
- 特定の行為を何度も繰り返さないと不安になる
- 生活上のあらゆることが気になって、極端な不安や心配を感じる
- 強烈なストレスやショックに対して、時間が経っても恐怖感がなくならない
統合失調症
統合失調症は、幻覚や妄想が目立つ精神障害です。感情や考え、行動がまとまらないという面もあり、日常生活に支障をきたすリスクが高い病気です。
以前は精神分裂病と呼ばれていましたが、2002年からは統合失調症という病名に変わりました。
- 誰もいないのに人の声が聞こえる
- 自分を批判、監視しているような声が聞こえる
- 誰かに尾行されていると思いこむ
- 自分が考えていることは、世界中の人にバレていると思っている
- 人と目を合わさず口数が減り、会話が広がらない
- 話の筋道が支離滅裂になる
- 自分の話が中断されると、それ以上話し続けられない
双極性障害
双極性障害はかつて躁うつ病とも呼ばれ、気分が沈むうつ状態と気分が高まる躁状態が定期的に入れ替わる病気です。
うつ状態の方が自覚しやすく、躁状態になると「元気になった」と勘違いしてしまうため、うつ病だと誤認してしまうケースも。
しかし抗うつ薬は病状を悪化させるリスクが高いので、正確な診断が必要です。
- 自信が高まり、何でもできるような気持ちになる
- 睡眠時間が極端に少なくても活動できる
- お喋りになる
- 次々にアイデアが浮かんで行動的になる
- 性的に奔放になる
- 気持ちが落ち込む
- うまく寝つけない、もしくは寝てばかりいる
- なにも楽しめず意欲が湧かない
- 死にたくなる
アルコール依存
アルコール依存症は、お酒を飲まずにいられない・飲み方をコントロールできない状態を指します。
飲酒しないと不安になるという精神的な依存は、やがて肉体的な依存に発展。アルコールが体内から抜けると、ふるえや多汗といった不調を生じるようになります。
- 飲酒にふさわしくない時にも、飲みたいと強く思う
- お酒が常に手元にないと落ち着つかない
- 少しだけと思って飲み始めても、つい多く飲み過ぎてしまう
- 数時間おきに飲酒する(連続飲酒)
- 酔いが覚めると手がふるえたり大量の汗をかいたりする
- 飲んでいないと不安になったりイライラしたりする
治療には、カウンセリングとお薬の両方が必要です
ちょっとした身体のケガや病気なら、少し休めば治ることもあります。しかし心の病気は自然に治ることは少なく、むしろ悪化を招いてしまう危険性が。
日常生活に影響をおよぼしてしまう前に、医療機関へ相談してみましょう。
心の不調や病気を扱っているのは、精神科・心療内科・メンタルクリニックです。
診察内容 | 特徴 | |
---|---|---|
精神科病院 | うつや統合失調症など、心の病気を診る | 入院施設がある |
心療内科 | 過敏性腸症候群や気管支喘息など、心因性の症状を診る | 心の病気を診る場合もある |
メンタルクリニック | 心の病気を診る 通院治療がメイン |
入院施設がない or少ない |
神経内科 | 脳や脊髄、神経の病気を診る | 心の病気は診ないこともある |
精神療法(心理療法)
精神療法(心理療法)では、医師やカウンセラーが患者の話を聞き、専門知識を用いながら相談に乗ったりサポートを行なったりします。
患者は、話を聞いてもらうことで自分の問題や傾向を把握していきます。
そしてアドバイスされた対処法を実践していきながら、少しずつ心のコンディションを取り戻していきます。
精神療法には、行動療法や認知行動療法、対人関係療法など、いくつかの種類があります。
認知行動療法(CBT)
認知(考え方)を正すことで抱えている問題を対処できるようになり、心の状態が改善していきます。
根気よく続ける必要がありますが、薬物療法と同等の効果が得られるとされています。
精神分析的心理療法
1週間に1度、45~50分ほど対面で話をします。
自分の気持ちとありのまま向き合って言葉に表す作業を通して、問題の原因を把握・受け入れていきます。
対人関係療法(IPT)
対人関係における態度やコミュニケーションのあり方を客観的に捉え、人との関わりから生まれる心の不調を改善していきます。
悲哀・対人関係上の役割・役割の変化・関係の欠如(孤立)の4つに基づいて問題を探り、改善を目指します。
無料で相談できるサービスがあります
病院でカウンセリングを受けるまでのハードルが高く、誰にも相談できないままつらい状態が続いていませんか?
そんな時には、電話やメール、チャットなどで話しを聞いてもらえるサービスを利用してみましょう。
費用はかからず、匿名でもOK。「少し話を聞いてもらいたい」「具体的なサポートや治療手段を提案してほしい」という時に役立ちます。
【電話・SNS相談窓口 一覧】
・こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556
・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
0120-279-338
・いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)
0570-783-556(ナビダイヤル)
0120-783-556
・働く人の「こころの耳電話相談」
0120-565-455
・働く人の「こころの耳SNS相談」
https://kokoro.mhlw.go.jp/sns-soudan/
・働く人の「こころの耳メール相談」
https://kokoro.mhlw.go.jp/mail-soudan/
薬物療法
心の病気に有効な治療薬は、精神安定剤(抗不安薬)・抗うつ剤・気分安定剤・抗精神薬という4つのタイプがあります。
精神安定剤 | 抗うつ薬 | 気分安定剤 | 抗精神病薬 | |
---|---|---|---|---|
有効な病気 | うつ病 不安障害 統合失調症 |
うつ病 不安障害 統合失調症 |
双極性障害 | 統合失調症 双極性障害 |
働き | 強い不安や緊張など、一時的な症状を落ち着かせる | 意欲の低下や気分の落ち込みを底上げし、安定した状態を維持する | 感情の波を穏やかにし、一定に保つ | 気分を安定させ、妄想・幻覚などの症状を改善する |
電気けいれん療法
電気けいれん療法(ECT)は、頭部に軽い電気ショックを与えて脳のけいれんを誘発する治療法です。
うつ病による自殺念慮が強いケースや症状が重く切迫した状態では最初に選ばれる方法で、有効性と即効性の高さから広く行なわれています。
脳に電気を流すという点で危険な治療だと感じるかもしれませんが、一時的な記憶障害以外に大きな副作用は報告されていません。
ほかにも脳に刺激を与える治療法として、反復経頭蓋磁気刺激療法(TMS)や迷走神経刺激療法などがあります。