【重要】サイト合併のお知らせ

【生理痛(月経困難症)】痛みの程度に関係なく緩和が可能です

このページでわかること

  • 症状|生理期間中におもに腹痛や腰痛、頭痛が生じます
  • 原因|器質性月経困難症と機能性月経困難症の2種類に分けられます
  • 対策|原因疾患の治療と薬物療法が効果的です

ほとんどの女性が生理痛を経験したことがあることでしょう。
中には普段の生活を送れなくなるほどの痛みが出る人も。
家事をするのが辛かったり、仕事や学校に行きたくなかったり、布団から出られなくなるという人もいます。
日常生活に支障をきたしてしまうほどの生理痛を月経困難症といいます。

月経痛の有無と月経困難症の有病者の割合

厚生労働省が2004年に行った働く女性の健康に関する実態調査において、月経痛のある女性は2079万人おり全体の約71%、その中でも月経困難症だとされる人は783万人で全体の約27%でした。

治療を受けている人の割合

2013年に行われた日本子宮内膜症啓発会議では、厚生労働省の調査をもとに月経困難症の現在の推定患者数を割り出したところ、800万人を超える患者がいるとされました。
月経困難症の有病者の中で実際に治療を受けているという人は、わずか10%の80万人ほどしかいません。

生理痛は多くの女性が経験し、悩むことのある症状です。
場合によっては生活の質を低下させてしまう可能性があるため、ためらわずに相談・治療を行いましょう。

症状|生理期間中におもに腹痛や腰痛、頭痛が生じます

生理痛は月経開始とともに身体的症状・精神症状といった随伴症状が現れ、月経終了後に症状が消えるまたは軽くなります。

生理痛の症状

腹痛、腰痛、頭痛、悪心、吐き気、胃痛、食欲不振、下痢、歯痛、めまい 、イライラ など

症状の種類や程度、頻度には個人差があります。
通常通りの日常生活を送れない場合は、月経困難症と判断されます。
しかし痛みの程度は自己判断であるため、あの人は我慢しているから私も我慢しなければと考えず、自分がツライと思ったら迷わずに適切な対処を行いましょう。

月経困難症とPMS・PMDDの違い

月経困難症とPMS・PMDDは月経時期に起こりやすいため混同してしまいます。

月経困難症 PMS・PMDD
発症時期 月経中 月経前
おもな症状 腰痛
頭痛
腹痛
イライラ
イライラ
情緒不安定
むくみ
胸の張り
特徴 年齢を重ねると軽くなる 年齢を重ねると重くなる

月経困難症は身体的症状、PMS・PMDDは精神的症状が見られやすいですが、決定的な違いはなく似たような症状ばかりであるため混同しやすくなります。
月経困難症とPMS・PMDDを見分けるポイントは症状が出る時期。
月経がはじまって1~3日目に現れるのが月経困難症であり、月経がはじまる3~10日前に見られる症状がPMS・PMDDです。

月経痛の発症時期

原因|器質性月経困難症と機能性月経困難症の2種類に分けられます

生理痛は痛み物質であるプロスタグランジンの過剰分泌によるものがほとんど。
しかし中には子宮や卵巣の病気が原因で起こる生理痛もあります。

痛み物質の過剰分泌 子宮や卵巣の病気
機能性月経困難症 名称 器質性月経困難症
ストレス
子宮口が狭い など
原因 子宮内膜症
子宮筋腫など
10~20代前半 年齢 20代後半以降
月経開始後1~3日間 痛む時期 月経中ずっと
月経前後に現れることも
周期的 痛みの特徴 持続的

器質性月経困難症
原因は子宮の病気がおもで、子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤内炎症、子宮頚管狭窄、子宮奇形などによって痛みが出ます。
子宮内膜症では子宮以外で内膜ができ、月経時には内膜がお腹に溜まり炎症を起こしてしまいます。これが痛みの原因に。
子宮筋腫では筋腫が大きくなり周りの臓器を圧迫して痛みを引き起こします。
器質性月経困難症は初潮の5年後以降の20代後半から見られやすくなり、年齢を重ねるごとに症状が重くなっていく特徴があります。

機能性月経困難症
原因は痛み物質であるプロスタグランジンの過剰分泌です。
プロスタグランジンは子宮壁にある平滑筋を収縮させる働きがあります。
平滑筋が収縮することで剥がれた子宮内膜が体外へと出て月経となりますが、プロスタグランジンが過剰分泌されると子宮が収縮しすぎて痛みを起こすのです。
プロスタグランジンの分泌量を増やす要因としてストレスや運動不足・冷え性による血流の悪さがあります。

また痛み物質の過剰分泌だけでなく、子宮の入口が小さいことも機能性月経困難症を引き起こす原因の1つとされます。
経血がスムーズに排出されないため痛みを生み出し、逆流してしまうと経血に含まれているプロスタグランジンによって子宮内が収縮して痛みが出るのです。

年齢別の生理痛の原因

生理痛は子宮の成熟度により、年代によって重さや原因が変化していきます。

年代 原因
10代 子宮の入り口がせまい
20~30代
(妊娠未経験)
ストレス(社会的)
食生活の乱れ
子宮や卵巣の疾患
※子宮が成熟するため軽くなる傾向
出産経験後 ストレス(育児・家事)
※子宮口が広がるため軽くなる傾向
40代 子宮や卵巣の疾患

10代は初潮を迎えたばかりのため子宮口が狭く、経血を体外へと押し出そうとする圧が大きくかかります。それにより生理痛が起こるのです。
逆に出産を経験した女性は子宮口が広がるため、生理痛は軽くなると言われています。
しかし、育児や社会復帰などでストレスを感じると痛みが悪化することも。

20~30代は子宮が成熟するため、一般的に生理痛は軽くなると言われています。
しかしストレスがたまったり食生活が乱れたりしてしまい、痛みが重くなることも。
また子宮内膜症や子宮筋腫といった疾患もかかりやすくなるため、器質性月経困難症に悩む人も増えていきます。

40代の生理痛は子宮疾患によるものである可能性が大いにあります。
成人女性は月経の回数を重ねるごとに生理痛の症状が軽くなっていく傾向にありますが、40代になっても軽くならない・重くなったという場合は子宮や卵巣自体に問題があります。

対策|原因疾患の治療と薬物療法が効果的です

器質性月経困難症は子宮や卵巣の疾患が原因となっているため、原因疾患を治療することで生理痛を軽くできます。
原因疾患が何なのかを判断するため、必ず病院を受診しましょう。
機能性月経困難症の対策は痛みへの対処と痛みを軽くする予防の2つに分けられます。

器質性月経困難症の対策

器質性月経困難症では、子宮内膜症や子宮筋腫、骨盤内炎症、子宮奇形といった生殖・妊娠に関わる器官の疾患が痛みを引き起こす原因となります。
そのため、根本的原因となる疾患を治療しない限りは痛みを改善できません。

それぞれ薬物療法や外科的療法などさまざまな対策の中から、疾患の進行具合や年齢、妊娠希望の有無によって治療法を判断します。
原因となる病気を放っておくと、不妊や子宮外妊娠、ガンなどのリスクを高めてしまいます

器質性月経困難症を改善するためには、原因となる疾患の早期発見と適切な治療が必要です。

機能性月経困難症の対策

機能性月経困難症の対策には、痛みが起こってから緩和する対処と痛みの程度を事前に軽減する予防の2種類があります。

対処

  • 鎮痛剤
  • 体を温める

鎮痛剤
鎮痛剤の服用は痛みの緩和に最も効果のある対処法です。
鎮痛剤には痛みの原因となるプロスタグランジンの分泌を抑える働きがあります。
痛くなる前または痛みを感じた直後に服用しましょう。
鎮痛剤に頼りすぎると耐性ができて効かなくなると心配する人もいますが、市販薬レベルの鎮静剤であれば、用法用量を守って服用すれと耐性ができることはありません。
痛みが出てしばらくして服用しても望む効果は得られないため、我慢せずにすぐ服用するようにしてください。

【鎮痛剤の種類】
ロキソニン、ナプロシン、バファリン、EVEなど

体を温める
痛み物質が出やすくなる要因の一つとして血行の悪さがあります。
血流が滞っているということは血管が縮んでいるということ。子宮内の血管が縮むと子宮が圧迫されて痛みを感じてしまいます。
体を温めることで血行が改善し、痛みが和らぐのです。

【温める方法】
カイロを貼る、お風呂に入る、温かい飲み物を飲む、ストレッチをするなど


予防

  • 低用量ピル
  • 漢方
  • 代謝のUP
  • ストレス発散

低用量ピル
低用量ピルから子宮内膜を生成する女性ホルモンが摂取できるため、体内で分泌される女性ホルモンの量が減少します。
摂取する女性ホルモンは低用量であるため、子宮内膜はほとんど厚くなりません。
生理痛の原因となる痛み物質は子宮内膜の厚さによって分泌量が比例するため、子宮内膜が薄ければ分泌量は減り、痛みが緩和されるのです。

【低用量ピルの種類】
トリキュラー、マーベロン、ヤーズなど

漢方薬
漢方薬は一人一人の体質や症状に合わせて処方されます。
即効性はありませんが、常用することで体質を改善でき症状の軽減に繋がります。
天然由来の成分を使用しているため、医薬品に比べて副作用が出にくいという特徴も。

【漢方薬の種類】
桃核承気湯、当帰薬散、温経湯、加味逍遥散など

代謝のUP
低体温の人は代謝が悪く、血液の循環がうまく行われていません。血行の悪さは生理痛を悪化させます。
代謝をよくして基礎体温を上げることで血行が良くなり、痛みを弱められます。

【代謝UP方法】
運動する、バランスの良い食事、十分な睡眠、酸素を補うなど

ストレス発散
ストレスはホルモンバランスを崩す原因となり、痛み物質の分泌はホルモンに関係するため痛みが生じやすくなります。
ストレスを感じても発散して溜めないことで、ホルモンバランスが安定して痛み物質の分泌量を減らすことができ、痛みを緩和できます。

【ストレス発散方法】
運動する、趣味を楽しむ、寝る、大声をだすなど

こちらの記事も読まれています

目次