イミグラン点鼻薬

効果・効能

イミグラン点鼻薬は、スマトリプタンを有効成分に配合した片頭痛薬です。
片頭痛の仕組みは解明されていませんが、一度収縮した血管が過剰に広がることで脳内の神経を圧迫。圧迫された神経が痛みの原因となる物質を放出して血管周りに炎症が起こるため、痛みが発生するとされています。

スマトリプタンはセロトニン受容体に働きかけ、拡張した血管を収縮。また、炎症を抑制する働きもあるため、片頭痛を緩和できるのです。

63％の改善率

国内で行われた臨床試験では、片頭痛が起こった際にイミグラン点鼻薬を20mg使用しました。
使用して120分経過した時の改善率は、プラセボ群と比べて次の通りです。

頭痛が重度または中等度から軽度またはなしに改善した割合は、プラセボ群が36％だったのに対し、イミグラン点鼻薬20mg群は63％と約2倍の効果を示しました。

最短15分で効きます

同じスマトリプタンを配合した錠剤タイプは服用後30分で効き始めるのに対し、臨床試験においてイミグラン点鼻薬は使用後15分と短時間で効果を発揮しました。

錠剤タイプは腸管から成分が吸収されるのに対し、イミグラン点鼻薬は鼻の粘膜から吸収されるため即効性があります。

用法・用量

片頭痛が起こった時にすぐさま1回20mgを鼻腔内へ投与します。
効果が不十分な場合には、投与間隔を2時間以上空けて追加投与してください。
1日の総投与量は40mg（2回）以内です。40mgを超えての摂取は決して行わないでください。

イミグラン点鼻薬は、頭痛の症状を緩和するものであり、片頭痛を予防するものではありません。
痛みが発現した時のみ使用しましょう。

また、イミグラン点鼻薬を使用しても症状の改善がまったく見られない場合には、使用を中止して検査を受けてください。

ほかのスマトリプタン製剤と組み合わせる場合

スマトリプタンを配合したほかの商品と組み合わせて使用する場合には、次の間隔を空けて使用してください。

【先行投与する製剤と追加投与する製剤の投与間隔】

副作用

鼻水や動悸、眠気といった症状が多く報告されています。
国内における臨床試験では、22.0％に副作用が見られ、鼻水や鼻閉といった鼻腔・副鼻腔の疾患が6.4％、喉の痛みや違和感といった咽頭症状が3.7％確認されています。

また、使用後に眠気が生じる場合は危険なため、自転車や機械の操縦、高所での作業は避けましょう。

重大な副作用

イミグラン点鼻薬を使用すると、アナフィラキシーや虚血性心疾患様症状、てんかん様発作といった重大な副作用が見られる場合があります。

アナフィラキシー：かゆみ、くしゃみ、目の充血、下痢など
虚血性心疾患様症状：激しい胸の痛み、呼吸困難、冷汗など
てんかん様発作：体が一瞬ピクンと動く、体の力が抜けて倒れる、ボーっとするなど

上記の症状が起こった場合は、使用をやめてすぐさま医師の診察を受けてください。

禁忌・注意

次にあてはまる人はイミグラン点鼻薬を使用すると、症状を悪化させてしまう可能性があります。
決して使用しないでください。

• 配合成分にアレルギーのある人
• 心疾患のある人（心筋梗塞・虚血性心疾患・異型狭心症）
• 血管障害のある人（脳血管障害・一過性脳虚血性発作・末梢血管障害・高血圧症）
• 重度な肝機能障害のある人

また、次の薬とイミグラン点鼻薬を併用してしまうと、血管上昇または血管痙攣が起こりやすくなったり副作用が出やすくなったりします。
併用しないでください。

• エルゴタミン
• 5-HT1B／1D受容体作動薬（トリプタン系成分配合薬）
• MAO阻害剤

ほかにも持病や常用薬のある人は、イミグラン点鼻薬を使用する前にかかりつけ医に相談してください。

妊娠中または授乳中の女性

妊娠中の女性の使用に関しては、まだ安全性が確認されていません。
これまでの実験において、妊婦が使用することで奇形児が生まれるといったリスクは示されていませんが、治療においてのメリットが危険性を上回ると判断された時にのみ使用しましょう。

授乳中であればイミグラン点鼻薬を使用できます。
ただし、成分の母乳への移行が確認されているため、使用後12時間は授乳しないでください。12時間で出る母乳は吸引して破棄しましょう。

参考サイト

本商品の詳細は、海外メーカーの商品情報の翻訳および以下のサイトを参考に編集しています。

• KEGGデータベース「イミグラン」
• フリー百科事典 ウィキペディア「スマトリプタン」