【梅毒】悪化すると全身に症状が現れます
梅毒とは?
性器だけでなく全身にしこりや発疹が現れる感染症です。感染して3週間、3ヵ月、3年を境に症状が大きく変化していくのが特徴。
HIVの感染率が高まる・妊娠中の胎児にうつすといったリスクがあるため、治療を行なったら完治の確認検査を受けることも忘れずに!
梅毒は古くから知られている感染症で、日本では室町時代には存在していたと言われています。
かつては不治の病として恐れられていましたが、抗生物質・ペニシリンが発見されてからは確実な治療ができるようになりました。
「梅毒は昔に流行した性病」というイメージがあるかもしれませんが、現代でも男女ともに感染者がいます。
参照元:厚生労働省「2019年 性感染症報告数」
症状|しこりは自然に消えますが、治ったわけではありません
梅毒の症状は、性器だけでなく全身の皮膚におよびます。
治療を行なわなくても一時的に症状が消失するため、治ったと勘違いしてしまうことも。
しかし体内には細菌が残っているため、時間が経つと症状はさらに悪化します。
症状の変化は、感染して3週間、3ヵ月、3年をポイントに現れます。
第一期梅毒 (3週間後) |
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第二期梅毒 (3ヵ月後) |
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第三期梅毒 (3年後) |
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第四期梅毒 (末期) |
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第一期梅毒
感染して3~4週間ほど経つと、陰茎や膣、外陰部などの性器に、痛みのないしこり(腫瘍)ができます。
しこりは肛門や直腸、舌、指など、性器以外の箇所に現れることも。また、痛みを生じる人もいます。
しこりは3~12週間ほどで消失するため治ったように見えますが、菌は体内に潜んでいます。
第二期梅毒
体内に潜伏している菌は血液にのって全身に広がり、手や足、背中など、広い範囲に発疹を生じます。
頭皮に発疹ができるとその部分の髪が抜けてしまうため、部分的な脱毛が起こりやすくなります。
またリンパが腫れ、発熱や疲労、食欲不振などが現れる場合も。まれにほかの臓器や粘膜に感染し、聴覚や視覚の異常、黄疸、頭痛などが起こるケースもあります。
第三期梅毒~末期
治療しないままでいると、感染から3~10年後にゴムのような柔らかいしこりが現れます。
すべての臓器で生じる可能性があり、悪化するとしこり表面の皮膚が破れて潰瘍になるほか、周辺の組織を破壊して激しい痛みを生じるようになります。
感染が広がると、心血管梅毒や神経梅毒などに発展します。
心血管梅毒
- 動脈瘤が生じて、呼吸が苦しくなったり咳がでやすくなったりします。
- 大動脈弁から血液が漏れ出る、冠動脈が狭くなることがあります。
- 心不全の可能性が高まります。
神経梅毒
- 髄膜炎になりやすく、めまいや記憶力の低下、不眠症を招きます。
- イライラや気分の変調、物忘れなど、認知症に似た症状が現れます。
- 背中や脚に刺すような痛みが起こり、歩行が不安定になります。
検査|症状がなくても心当たりがあれば確認を
梅毒の症状はほかの病気と間違えやすく、医師でも判断を誤るケースはあります。
ハッキリとした症状がなくても、行動に心当たりがある場合には検査を受けましょう。
梅毒にかかると発症した部位からHIV(エイズウイルス)が侵入しやすいため、あわせてHIV検査も受けておくと安心です。
血液から感染の有無を調べます
病院で検査を受ける場合、検査キットでセルフチェックを行なう場合、いずれも血液を採取して感染の有無を確認します。
検査は、感染(きっかけとなる行為)の1ヵ月後から受けられます。
感染後3ヵ月経ってから行なった検査で陰性だった場合は、感染していないと判断されます。
原因|アナルセックスやキスでも感染します
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum subspecies pallidum)という細菌が原因です。
精液や膣液、血液などに存在し、性行為やキスといった触れ合いのほか、病変部への接触でもうつります。
とくに男性同士の性行為による感染が多く、すでにHIVに感染している人が梅毒を併発するケースが多くみられます。
細菌が侵入しやすい体の部位
性器、肛門、口、皮膚や粘膜にできた傷口
感染を招く行動
性行為(膣への挿入、オーラルセックス、アナルセックス)、キスなど
治療|抗生物質の投与で改善します
梅毒は、抗生物質・ペニシリンの筋肉注射、または飲み薬の服用で治療できます。
感染から経過している期間によって、完治までにかかる期間も異なります。
梅毒は、抗生物質の服用で改善できます。
梅毒にもっとも有効なのはペニシリンですが、アレルギー反応が出やすい人もいます。
その場合には、系統の異なる抗生物質を使用します。
パートナーと一緒に治療しましょう
梅毒にかかっても、症状はすぐに治まることがあります。
しかし細菌は体内に残っており、感染力も保っています。
性的関係を持つパートナーがいる人は、お互いに治療を行なわなくてはいけません。
ひとりが治癒しても相手が感染したままでは、お互いに再感染を繰り返してしまいます。
また、双方が完治したことを確認できるまでは、性行為は控えておきましょう。
本当に治っているか再検査を行ないましょう
梅毒の治療を行なったら必ず再検査を行ない、体内から菌がなくなったことを確認しましょう。
梅毒は、治療しなくても症状が消失して治ったようにみえることがあります。
- 症状がなくなったから治療しなくていい
- 服薬の期間中だけど、症状が治まったから薬はやめていい
治療を始めていない人や治療を中断した人はもちろん、治療を終了した人もかならず再検査を行ない、完治を確認してください。